今日は死んだばあちゃんの誕生日。自分と同じ十一月生まれで、好きじゃなかった人。この先もずっと頭の中でグルグル過去を思い出しながら今日を過ごすのだろうか。
職場にひとりぼっちでいるのは何となく寂しくて心地がよかった。寒くて早く帰りたいと思いながら、ストーブの前から動けなくて夜が更ける。いつまで経っても自分はソレに執着しているようで。見えないソレの粘着性は一向に衰えてくれない。ヒソカのバンジーガムみたいな、厄介なソレを自分の身がボロボロになってでも剥がしてやりたい、という気力は最初から持ち合わせていなくて、もういっそ殺せと叫ぶしかない。弱っちい人間だった。
何となく目に入った電球の色が優しくて、思わずシャッターを切る。二股ソケット電球、お前まで世間に前倣えかよ、と皮肉を静寂で呟くことくらいは許して欲しい。
