hansuu

くだらない生活と脳みそ

ミスタードーナツの看板を見かける度に、syrup16gを思い出して仕舞う。

というのは、シロップファンあるあるでは無かろうか。ミスタードーナツでバンド名を決めていたとき、店のコーヒーシロップが16gだったからsyrup16gになった、という話はファンの中じゃ当たり前の話だろう。

「美味しいお蕎麦屋さん見つけたから、今度行こう」とか「幸せはヤバいんだ」とか「広い普通の心をくれないか」とか「全人類兄弟、けんちん汁ちょうだい」とか……、ふとした瞬間に出てくる強烈な歌詞の記憶。書いていたらキリがねえ、しねえ

 

それはさておき。先週の土曜日を振り返る。カラオケは本当に楽しかった。彼とは音楽の趣味が似ていたので普段じゃ絶対に歌えないsyrup16gGRAPEVINEゆらゆら帝国だって歌えた。シロップを歌える機会というのは今まで殆ど無くて、ここぞとばかりに歌えるものは全て歌い尽くした1日だった。

「歌えない」理由というのは、曲名、歌詞の内容を見ていただければ容易く想像がつくとは思う。「空をなくす」というのは向精神薬の「ソラナックス」のことを指すと言われているし、「吐く血」はアレ、「手首」はアレのことだ。鬱ロック、という言葉で当時流行った。今はもうそんな風には呼ばないのかも知れない。

彼、五十嵐隆のつくる曲は、その曲の殆どが力強さの欠片のない代物だ。彼は、元気がない。嫌いな他人の悪口、社会への嫌悪を吐き捨てるなどというよりは寧ろ、生きることへの諦め、喪失感、虚無感、幸せへの恐怖を歌う。五十嵐のバンド活動は、限りなく「静」に近い「動」だ。

だから、五十嵐のことを全く知らない方とのカラオケでは、とてもじゃないけれど「歌えない」のだ。

自分の好きな曲の中に「天才」という歌がある。疾走感のあるメロディが最高に格好良い。歌詞は隠喩的。これなら人前でも歌えるかも、と2人で確認し合いながら歌ったのは少し可笑しかった。

こんなことを綴りながら、以前「あなたの言葉をみてsyrup16gを聴いてみたよ」と言葉を遺してくれた方がいてとても嬉しかったのを思い出した。だから、敢えて言う。

 

syrup16gは上手くいっている時に聴くのが1番響くよ」