hansuu

くだらない生活と脳みそ

5月20日、祖母が亡くなった家が夢に出てきた。でも、祖母は登場しない。そこにはなぜか中学二年のときの担任が住んでいた。自分は兄弟の運転する車で、何かしらの荷物をそこから運んでいた。今は亡き、日産のファミリーカーだった。随分と昔に廃車にした、母の乗っていた車だ。彼が免許を取ったのはそれが廃車された後だから違和感を覚えた。その車で祖母の家へよく通ったから出てきたのだろう。思い出すのは祖母の亡くなった日のこと。自分はあの日のことを一生忘れないと思う。風呂の湯船を見るのが少し怖くなったのもそれからだ。でもなぜ今なんだ。命日はとっくに過ぎていて、今日はなにも関係のない日なのに。

連日、あの家のことが夢に出てくる。次の日は他人に借家として貸していた。半分自分たちが住んでいて半分を人に貸している、そんな状態。相手は彼の職場の方々、ひとつ屋根の下だが干渉はしない、そんな関係。それでも自分はお風呂にだけは入れなくて、近くの銭湯へ毎日通っていた。現実にはそんな銭湯、存在しない。今住んでいる街のように温泉が湧いたりしないただの漁師町だったから。

よくわからないがあの日から毎日夢を見続けている。登場するのは祖母の家だけではない。耳から入った記録がそのまま夢に投影される。テレビで動画を垂れ流したまま眠ってしまえば観てもいないのに内容を知っている、というのがよくある。絵は違うが誰かが言った台詞を知っている。自分の夢は外部の干渉によって更に混沌とする。身体が疲弊する代わりに何者にも成し得ない物語を紡ぐことができる。昨夜なんかは、暑くて窓を少し透かしていた。閉めなければ閉めなければ、と考えながら、夜風が気持ち良くて寝てしまった。不安感が恐怖へと代わり、ベランダから黒い影が侵入してくるという怖い映像を創り上げてしまい声を出して飛び起きた。身体は震えていた。隣ですやすや眠っていただろう彼を起こしてしまったが、恐怖で「窓閉めて」と伝えることしかできなかった。なかなか寝付けず、脱衣所やトイレ、玄関のチェーンまで確認しに行ってようやく毛布に包まることができた。

「昨日はごめんね叫んで起こして」と眠い目を擦る彼に言うと、そうだっけ?と不思議な顔をした。覚えていないの?でもあなた、手を伸ばして窓を閉めて鍵まで締めてくれたのよ。